東京大学の藤井輝夫総長は、行動指針「UTokyo Compass」の中で「世界の誰もが来たくなる大学」というビジョンを鮮明に打ち出した。この方針は選抜システムにも直結している。従来の画一的な学力偏重から脱却し、多様な背景やジェンダーバランス、自律的な問いを立てる力を持つ人材を迎え入れる狙いがある。
藤井体制下の東大が求めるのは、与えられた問題を素早く解く処理能力ではない。不確実性の高い現代社会において、自ら未解決の課題を発見し、他者と協働しながら解決への道筋を描けるリーダー像だ。各高等学校長からの推薦枠に厳しい人数制限(1校あたり男女枠を含めた上限設定など)を設けている点も、特定の進学校への偏りを防ぎ、全国から多様な才能を吸い上げるための戦略的布石と言える。