名門パーティザン・レコード(Partisan Records)との契約は、バンドの表現力をさらに一段上のステージへと押し上げた。IDLESやFontaines D.C.といった骨太なアクトを数多く抱える同レーベルにおいて、Dilly Dallyの存在感は際立っていた。単なる90年代グランジ(Grunge)の焼き直しやノスタルジーに逃げることなく、21世紀を生きる者としての切実なリアリティを音に注ぎ込んだからだ。
ニルヴァーナやピクシーズが切り拓いたグランジの遺伝子を受け継ぎつつも、そこにはクィアカルチャーやフェミニズムの視座が自然体で織り込まれていた。美しさと醜悪さ、脆弱さと凶暴性。相反する感情をすべて飲み込んだそのスタイルは、インディーロックの枠組みを根底から押し広げる力を持っていた。