事件直後の熱狂的なバッシング報道の中で、メディアは教団を単なる「狂気の集団」として断罪し、その内側に潜む構造的問題から目を背けがちだった。そうした時代に一石を投じたのが、森達也監督によるドキュメンタリー映画『A』である。外部から遮断された信徒たちの日常と当惑をカメラに収めた同作は、カルトをモンスターとして切り捨てるだけでは見えてこない、人間の弱さと集団心理の罠を提示した。
時を経て、事件の記録は『NHKスペシャル 未解決事件』をはじめとする調査報道ドキュメンタリーへと受け継がれていく。綿密な取材と入手困難な内部音声テープの解析によって、教団がいかにして武装化を進め、捜査機関の網をすり抜けていったのかが冷徹に検証された。表面的なセンセーショナリズムを排し、事実の断片を積み上げるジャーナリズムの手法こそが、カルトの深淵を解剖する唯一の道であることをこれらの映像作品は証明している。