彼女はどのような人物なのか。当時伝えられた情報は「元会社員で、松井より8歳年下の控えめな女性」という極めて断片的な事実のみであった。大手スポーツメーカー勤務や富山県出身といった様々な憶測が飛び交ったものの、本質はそこではない。共通の知人を介した食事会で出会った二人は、互いの立場や肩書きに囚われない自然体の人間性に惹かれ合ったという。
派手な社交界を好まず、松井の野球に対する真摯な情熱を最も純粋に理解したのが彼女だった。どんなに不振に喘ぐ夜も、怪我に苦しむリハビリの期間も、彼女は過剰な干渉をせず、常に居心地の良い静寂を用意した。言葉少なに寄り添うその距離感こそが、彼が異国の地で闘い続けるための最大の酸素となったのだ。