時代を下り、欧州連合からの離脱──いわゆるブレグジットを選択した現代の英国の姿に、かつての孤立主義の亡霊を見る専門家は少なくない。イギリス外務・英連邦・開発省は「グローバル・ブリテン」のスローガンを掲げ、インド太平洋地域への関与強化や独自の外交・通商戦略を模索している。しかし、19世紀の圧倒的な国力と現代の中堅国家としての立ち位置の間には、埋めがたいギャップが存在する。
近年、NHKスペシャルの大型特集やNetflixで配信される気鋭の歴史ドキュメンタリー番組などがこぞって帝国衰亡のメカニズムを取り上げ、大衆的な関心を集めているのも偶然ではない。映像が克明に描き出すのは、過去の栄光へのノスタルジーがいかに現実の外交判断を歪め、国力を過信させるかという残酷な教訓だ。自律性の追求が、往々にして国際的な孤立と国益の毀損を招くという現実は、歴史が繰り返し突きつけてきた警告である。