千葉県佐倉市に位置する国立歴史民俗博物館をはじめとする研究機関の常設・企画展示では、近年、北方史や古代東北に関する展示内容の大幅な見直しが進められている。最新の出土品や科学分析データに基づき、従来の「中央 vs 地方」「文明 vs 未開」という二元論的な図式は完全に撤去されつつある。
発掘された馬具や日本刀の原形とされる蕨手刀(わらびてとう)、そして大規模な鉄器生産遺跡は、東北の蝦夷社会が極めて高い金属加工技術と独自の流通網を保持していたことを客観的に証明している。展示室に並ぶ遺物は、西日本の朝廷勢力と対等以上に渡り合い、時には活発に貿易を行いながら独自の政治体を作り上げていた人々の活力を如実に物語っている。