大谷選手が肉体改造を進める過程で、かつて日本球界のレジェンドや一部メディアから「筋肉をつけすぎると体が重くなり、関節の可動域が狭まって怪我をしやすくなるのではないか」という懸念の声が上がった時期がありました。ネット掲示板やSNSでも筋肉つけすぎの影響について議論が白熱した経緯があります。
しかし、近年のスポーツ科学と大谷選手の実績は、その古典的な懸念を完全に覆しました。ウエイトトレーニングで怪我のリスクが高まるのは、「筋肉量の増加に対して柔軟性や関節のモビリティ(可動性)の確保を怠った場合」に限られます。
大谷選手の場合、肩甲骨の驚異的な柔軟性や股関節の柔軟運動を毎日のルーティンに組み込んでおり、100kgを超える巨体でありながら背中で両肘がくっつくほどの可動域を保持しています。力学的に強いブレーキ筋(減速筋)を鍛え上げたことで、時速160km超の豪速球や打球速度190km超のスイングによる関節への破壊的な負荷を、強靭な筋肉の鎧が受け止めて靭帯を守る構造を作り上げているのです。