豊川稲荷を訪れる観光客の間で頻繁に見られる最大の誤解が、「豊川稲荷は神社である」という認識です。鳥居が立ち並び、狐が祀られていることから神道のお稲荷様と混同されがちですが、正式名称は「圓福山 豊川閣妙厳寺(えんぷくざん とよかわかくみょうごんじ)」という曹洞宗の仏教寺院です。
境内に祀られているのは、仏法を守護する善神「豊川吒枳尼真天(とよかわだきにしんてん)」であり、稲穂を担ぎ白狐に跨る姿から「豊川稲荷」の通称で広く親しまれるようになりました。したがって、参拝作法も神社のような「二礼二拍手一礼」ではなく、静かに手を合わせる「合掌一礼」が正式なマナーです。「オン・シラバッタ・ニリウン・ソワカ」という真言を唱えてお参りするのが正しい作法となります。
また、「いなり寿司はどこで食べても同じ味」という先入観も大きな誤りです。豊川のいなり寿司は、店舗ごとにダシの配合、醤油の濃淡、酢飯の具材(レンコン、ごま、シソ、季節の山菜など)が徹底的に差別化されており、食べ比べることでその奥深い味の違いを実感できます。