「教授」と呼ばれたアラン・プロストと、「音速の貴公子」アイルトン・セナ。同じチーム内に並び立った二人の世界王者は、やがて容赦のない愛憎劇へと飲み込まれていく。同じマシンを使いながら、走行スタイルも性格も真逆。データを開示し合いながらも、精神の深部では火花を散らしていた。
その激突が頂点に達したのが、日本の鈴鹿サーキットだ。1989年のシケインでの接触、そして1990年の1コーナーでの劇的なクラッシュ。タイトルを懸けた一歩も引かない攻防は、世界中のモータースポーツファンを震撼させた。レース後、激しい言葉が交わされ、二人の関係は冷え切った。しかしその底底には、互いの才能を誰よりも認め合う奇妙な敬意が潜んでいたのだ。