芸能・カルチャー界隈のゴシップにおいて、なぜこれほど確固たる根拠のない組み合わせが、さも事実であるかのように検索エンジンに残り続けるのか。そこにはネットユーザーが陥りやすい「3つの盲点」が存在します。
第一の盲点は、「強烈な対談=プライベートの親密さ」という短絡的な思考です。優れた表現者同士が対峙した際、その場に生まれる緊張感や相互理解の深さは、恋愛感情をも凌駕する純度の高い精神的スパークを起こします。それを目撃した受け手が、安易に「男女の恋愛関係」という身近な枠組みに矮小化して解釈してしまうケースが後を絶ちません。
第二の盲点は、アルゴリズムの罠です。ユーザーが「川上未映子 夫」で検索した直後に「川上未映子 宮本浩次」と続けて検索すると、アルゴリズムはふたつのトピックの関連性を機械的に引き上げます。結果として「川上未映子 宮本浩次 結婚」というサジェストが自動生成され、それを見た別のユーザーが「結婚しているのか?」とクリックすることで、デマが自己増殖していく構造が出来上がります。
第三の盲点は、文壇と音楽界という異なるジャンルのファン層の交差です。普段ロックを聴かない文学ファンが「宮本浩次という人物」を知り、エレファントカシマシのファンが「川上未映子の著作」に触れるなかで、両者の名前がカルチャーの共通項として記憶され、いつしか「かつて噂になったふたり」という不正確な記憶の改ざんが生じてしまうのです。