細木数子氏のパブリックイメージを根底から覆す引き金となったのは、2006年夏に講談社の『週刊現代』でスタートした大型ノンフィクション連載「細木数子『魔女の履歴書』」でした。執筆を担当したのは、山口組をはじめとする裏社会の取材で名高いノンフィクション作家の溝口敦氏です。
当時、細木氏はTBS系『ズバリ言うわよ!』やフジテレビ系『幸せって何だっけ〜カズカズの宝話〜』などで個人視聴率20%超を連発し、大物政治家からトップアイドルまでを手玉に取る絶大な権勢を誇っていました。多くのメディアがその威光を恐れて沈黙を守る中、溝口氏は綿密な登記調査や当事者への直接取材を積み重ね、彼女が語ってきた「華麗な半生」の虚飾を次々と剥ぎ取っていったのです。
連載で暴かれたのは、銀座のクラブ「眉」を経営していた時代の複雑な金銭トラブル、裏社会の有力者との密接な交際、さらには戦後の混乱期に築かれたアンダーグラウンドな人脈の数々でした。自著やテレビ番組で「由緒ある家柄」や「独自の修行」として神秘化されていた過去のストーリーは、綿密な調査報道の前に脆くも崩れ去ることになりました。