池袋の映画館が相次いで営業終了に追い込まれた最大の要因は、建物の老朽化と定期借家契約の満了です。池袋が映画の街として黄金期を迎えた昭和後期から平成初期に建設された雑居ビルは、耐震基準の強化や維持管理コストの増大という深刻な課題に直面していました。
さらに、映画業界全体の鑑賞スタイルの変化が決定打となりました。動画配信サービスの急速な普及に伴い、観客が映画館に求めるハードルは一気に跳ね上がりました。「映画館でしか味わえない圧倒的な没入感」を求め、巨大スクリーンや最先端音響設備を備えたハイスペック施設へ観客が一極集中するようになったのです。
従来の「雑居ビル型・中規模スクリーン」では最新の特殊音響やアトラクション型シートを導入するスペースの確保が難しく、劇場の設備投資競争と採算性のバランスが限界を迎えたことが、名館たちの幕引きを加速させました。