連続テレビ小説『カーネーション』の根底に流れるのは、泥臭くも愛おしい家族の絆と、岸和田の町に根を張る職人たちの息遣いだ。中心に立つのは、型破りな情熱で洋裁の道を切り拓くヒロイン・小原糸子。彼女を取り巻く登場人物たちは、誰一人として単なる「善人」や「悪役」に収まらない多面的な厚みを持っている。
小原家の大黒柱である父・善作を演じた小林薫の存在感は圧巻だった。頑固で短気、しかし娘への不器用な情愛を抱えた父親像は、物語の前半に骨太なドラマ性をもたらした。母・千代役の麻生祐未が見せるおっとりとした包容力、祖母・ハル役の正司照枝が放つ上方演芸仕込みの軽妙な掛け合いが、一家の日常に絶妙な生活感を宿らせている。
さらに、糸子の幼馴染であり生涯のライバル関係となる吉田奈津役の栗山千明、情に厚い木之元栄作役の甲本雅裕、木之元節子役の西尾まりなど、実力派が脇を固めた。NHK大阪放送局(BK)制作ならではの濃密な人間ドラマが、岸和田の空気感をそのまま茶の間に届けていた。