ネット上では現在も「BTSは根っからの反日グループであり、日本を意図的に侮辱した」という言説が一部で語られ続けています。しかし、当時の一次資料や関係者の証言を丹念に追っていくと、そこには短絡的な「反日か否か」という二元論では捉えきれない、文化管理の甘さと事後対応の現実が浮かび上がります。
まずTシャツ自体について、制作した韓国のファッションブランドのデザイナーは当時メディアの取材に対し、「反日感情を助長する意図はなく、歴史の事実として朝鮮半島の解放を描いたものだったが、被爆者の方々を傷つける意図は全くなかった。BTS側に迷惑をかけてしまい申し訳ない」と証言しています。メンバー自身が歴史的・政治的なステートメントとして自覚的に選んだというよりは、スタイリストから手渡された衣装やファンのプレゼントを、深い歴史的配慮を欠いたまま無批判に着用してしまったというのが実情に近い見立てです。
事態の沈静化に向けて所属事務所(当時Big Hit Entertainment、現HYBE)が取った対応は、K-POP業界の前例を見ないほど徹底したものでした。2018年11月13日に発表された公式謝罪文では、以下のように明確な文言で過ちを認めています。
「原爆被害を受けられた方々を傷つける意図は一切なく、今後もそうした意図は決してない」「原爆投下により被害に遭われた方々に対し、心よりお詫び申し上げる」。さらに事務所幹部が日本の大韓原爆被害者対策特別委員会(被爆者団体)を直接訪問して頭を下げ、真摯に対話を重ねて謝罪を受け入れられました。またSWCに対しても公式な謝罪書簡を送付し、迅速に関係修復を図っています。
さらに見落とされがちな事実として、メンバーたちの日常的な親日エピソードが挙げられます。リーダーのRM氏は美術鑑賞のために度々プライベートで来日し、日本の現代アートや文学に深い造詣を示しています。ジョングク氏やテテ(V)氏らは日常的に日本の音楽やアニメを愛好し、日本公演では流暢な日本語でファンへの真摯な愛情を伝えてきました。これらはビジネス用のリップサービスを超え、多感な青年たちが日本のカルチャーに対して純粋なリスペクトを抱いていることを示す証拠でもあります。