なぜ人は、最後の一言すら残さずに去ってしまうのでしょうか。関係者への取材や心理分析から見えてくるのは、冷酷さだけではない複雑な心理的防衛反応です。最も多く挙げられるのは「直接的な対立や感情的な衝突を極限まで恐れる心理」です。
本音をぶつけて相手を傷つけることへの罪悪感、あるいは話し合いによって引き止められたり激昂されたりすることへの恐怖から、沈黙を選ぶケースが目立ちます。また、「すでに自分の中で関係が完全に終了しており、これ以上エネルギーを消費したくない」という感情の枯渇状態に陥っている場合も少なくありません。去る側にとっては自己防衛の手段であっても、残された側にとっては「理由すら分からないまま放置された」という深い精神的ショックを残す要因となっています。