現場の熱量は異様なものだったという。クランクイン当初、衣装やメイクを施された二人がスタジオに入ると、ベテランの撮影スタッフでさえ「今、どちらのカットを撮っているのか」混乱する局面が多々あったと関係者は語る。
だが、ひとたび声を発し、動き出せば、そこには明確な「個」の境界線が現れた。福士の持つ静かで冷徹な佇まいと、中川が放つマグマのような動的エネルギー。二人は現場でお互いを強く意識し合い、カメラが回っていない場所でも独特の距離感を保っていたという。馴れ合いを排除した、プロフェッショナル同士の火花がそこにはあった。