熱狂はやがて落ち着きを見せるだろう。しかし、一度開いてしまった風穴が完全に塞がることはない。この現象が証明したのは、リスナーは決して「受動的な消費者」に成り下がってなどいなかったという事実だ。
どんなに時代がハイテク化し、ライフスタイルが断片化しようとも、人間が音楽に求める本質――誰にも言えない孤独を肩代わりしてもらい、底知れぬ切望を肯定してもらうこと――は何ひとつ変わっていない。記号化された言葉と均一化されたメロディに覆われていた日本の音楽シーンは、いま確実に大きな揺り戻しを迎えている。夜明け前の街で鳴り響くあの掠れた歌声は、新しい時代の幕開けを告げる狼煙なのか、それとも過ぎ去りし人間性の最後の抵抗なのか。私たちは今、その分岐点に立ち会っている。 (出典: 庶幾 の 唄(Yahoo!ニュース))
詳細を見る詳細を見る詳細を見る