文化庁が定期的に実施する国語世論調査を紐解くまでもなく、「気が置けない」という言葉の誤用率は高い。「相手に気を使う必要がない」という意味が本質だが、言葉の響きから「油断できない」「信用できない」と逆の意味で捉える人が今も後を絶たないのだ。特にデジタルネイティブ世代においては、この傾向が顕著に見られる。
言葉の乱れと片付けるのは簡単だ。しかし、この誤解の裏には、現代人が抱える「他者への過剰な警戒心」が投影されているのではないか。誰もがオンラインでつながり、いつでも評価され、炎上と隣り合わせの日常。そんな緊張感の中に生きる人々にとって、「気を置く(=配慮する、遠慮する)」必要のない相手を見つけることは、かつてないほど困難なタスクになっている。