この小さな無人駅が長年にわたり多くの人々を惹きつけてやまない理由は、スクリーンや紙面を通じた豊かな文化史にもある。JR東日本の『青春18きっぷ』のポスターに繰り返し採用されたことで全国的な知名度を獲得したが、その歴史的背景はさらに深い。
名優・渥美清が主演を務めた山田洋次監督の名作映画『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』では、冒頭の印象的なシーンのロケ地として下灘駅が登場する。寅さんがホームのベンチで風に吹かれる姿は、昭和の映画ファンに強い記憶を刻み込んだ。
近年では、NetflixやAmazon Prime Videoといった動画配信サービスを通じて過去の名作映画や現代のドラマ作品が世界中に配信され、海外からの映画ファンやドラマファンが現地を訪れる機会が急増している。こうしたロケ地観光の広がりは、現代の観光・旅行業における新しい地域活性化のモデルケースとしても大きな注目を集めている。