真カレイの身質は水分が多く、加熱によって水分が急激に抜けると繊維が固く締まりパサつきの原因になります。目指すべき理想は、表面の皮を高温で素早く焼き固めてメイラード反応による香ばしさを引き出しつつ、内部の水分を閉じ込めてしっとりと蒸し焼き状態にすることです。
そこで不可欠となるのが、マガレイの塩焼き前の切り込み(飾り包丁)です。カレイの皮側、特に身の厚い中央部分に十字または斜めの飾り包丁を深さ2〜3ミリ程度入れます。これにより、加熱による皮の急激な収縮と破裂を防ぎ、熱が芯まで均一に伝わるようになります。また、切り込みから余分な脂と水分が抜け、カレイの皮をパリパリに焼き上げる効果が得られます。
さらに、焼く直前にごく薄く酒を吹きかけるか、刷毛でサッと塗るひと工夫も有効です。アルコールの揮発とともに残存するわずかな魚臭が飛び、皮表面の温度上昇がスムーズになって焼きムラを防ぎます。