一方、ベッキーが辿った道のりも極めて挑戦的なものだった。バラエティ番組の「元気で明るい優等生」という定型的な役割を失った彼女は、表現者としての深みを増す方向に舵を切る。その象徴となったのが、2019年の映画『初恋』(三池崇史監督)で見せた狂気的な演技だ。復讐に燃える女性役を鬼気迫るテンションで怪演し、映画ファンや批評家を唸らせた。
近年では「Netflix」オリジナル作品や単発ドラマ、アートの個展など、自分の感性をダイレクトに投影できる場へ活動の幅を拡張している。結婚と出産を経て、母としての等身大の言葉を発信する一方、バラエティ番組で見せるコメント力にもかつてのような無理な繕いはない。傷を負った人間だけが醸し出せる独自のリアリティが、彼女の新たな魅力として定着している。