バッテリー液補充で水道水は絶対Ng?寿命を縮める罠と正しい補充手順とはどのようなものなのか? 背景や要点を整理してお届けします。

手元にバッテリー補充液がないとき、「少しだけなら水道水やミネラルウォーターで代用できないか」と考えるドライバーは少なくありません。しかし、整備現場において水道水補充の危険性は極めて高く評価されており、業界内では「即座に寿命を縮める致命的なミス」として認知されています。

自動車用鉛バッテリーの電解液は、濃度約37%の「希硫酸」と純水で構成されています。充放電に伴う化学反応やエンジンルーム内の熱によって蒸発するのは「水分」のみであるため、補充すべきは純粋な水分子(H₂O)です。ここに水道水を注ぎ込むと、水中に含まれる塩素、カルシウム、マグネシウム、鉄分といったミネラルや不純物が電極板(鉛および二酸化鉛)に付着します。

これらの不純物は電極板で局所的な短絡(ショート)や激しい自己放電を引き起こし、電極を著しく酸化・劣化させます。特に鉄イオンは微量であっても自己放電を加速させ、カルシウム分は電極表面に不溶解性の結晶被膜を形成して電気の流れを遮断します。一度ミネラルが付着した極板は元の状態に戻らず、不可逆的な容量低下を招きます。安価なバッテリー補充液代用として水道水や市販の飲料水を用いるのは、バッテリーの延命どころか「自ら寿命を終わらせる行為」にほかなりません。補充には必ず、不純物を極限まで除去した精製水(脱イオン水)を使用する必要があります。