女子シングルにおいて世界トップの座を維持し続けることは、技術の高度化が進む現代フィギュアスケートにおいて極めて困難とされる。しかし、坂本はその常識を打ち破り続けている。その強靭なメンタルと卓越した技術を支えているのが、中野園子コーチの独自の指導法だ。
中野メソッドの核心は、「基礎の徹底」と「圧倒的な練習量」にある。スピードに乗ったまま踏み切るトリプルフリップや、リンク全体を広く使った雄大なステップは、過酷な反復練習によって体に染み込ませたものだ。調子が上がらない日であっても、中野コーチは細かなフォームの乱れを見逃さない。
一方で、頭ごなしに命令するだけの指導とは一線を画す。坂本の調子や精神状態を観察し、攻めるべきか守るべきかの攻防を緻密にコントロールする。この「極限まで追い込む厳しさ」と「選手に寄り添う柔軟性」の妙が、世界の頂点へと君臨し続ける坂本のパフォーマンスを生み出している。