閉園後の遊園地跡地といえば、長期間にわたり廃墟化したり商業施設が乱立して景観が乱れるケースも少なくありません。しかし、あやめ池遊園地の跡地利用は、日本の私鉄沿線再開発における屈指の成功モデルとして高く評価されています。
閉園後、近鉄は池の周辺約30ヘクタールにおよぶ広大な敷地の大規模再開発に着手しました。その中核となったのが、東大阪市から移転誘致された「近畿大学附属小学校」および「近畿大学附属幼稚園」です。2010年に開校した新校舎は池の景観と美しく調和し、駅直結の安心・安全な教育環境として関西圏の教育熱心なファミリーから絶大な支持を集めています。
さらに、水辺の自然環境を活かした「近鉄あやめ池住宅地」が分譲され、無電柱化や統一感のある街並みガイドラインによって、重厚感ある低層住宅街とモダンなマンション群が形成されました。駅前には高品質スーパー「ハーベス」や医療モール、水辺を望むレストラン・カフェが配置され、遊園地時代の面影を残す池の周囲には美しく整備されたウッドデッキの遊歩道が広がっています。かつての喧騒は、落ち着きと気品ある邸宅街の静謐へと見事に昇華しました。