不妊治療への保険適用が拡大され、かつては一部の富裕層だけのものだった高度生殖医療は、今や一般的な選択肢となった。これにより、多くの夫婦が「子どもを持つ夢」を追いかけやすくなったのは事実だ。しかし、その光の裏には深い影が忍び寄っている。
治療開始のハードルが下がったことで、高齢出産に挑むカップルは増加の一途をたどっている。卵子の老化や染色体異常のリスクは、医療技術がどれだけ進歩してもゼロにはできない。多くの専門家が指摘するのは、「治療を受ければ、誰もが健康な赤ちゃんを抱ける」という誤った万能感の広がりだ。現実には、過酷な不妊治療の末に待っているのが、必ずしも「絵に描いたような幸せな家庭」とは限らない。