都内および地方の二次診療動物救急センターにおける統計データや症例手記を分析すると、夜間救急搬送された呼吸困難症例のうち、「異変に気づいてから3時間以内に搬送された群」と「朝まで様子を見て6時間以上経過してから搬送された群」の間には、救命率に倍以上の格差が生じている実態が浮き彫りになります。
ある飼い主の克明な記録にはこう記されています。「夜23時、愛猫がお腹を波打たせて座り込んでいた。触ると嫌がり、グルグルと喉を鳴らしているように聞こえたので、甘えているのだと勘違いして就寝した。翌朝6時に起きたときには横倒しになり、舌が青紫色になって冷たくなっていた」。
この手記にある「喉を鳴らす音」は、リラックス時のゴロゴロ音ではなく、重度の呼吸苦による喘鳴(ストライダー)や、極度のストレス・疼痛を紛らわせるための異常な喉鳴らしであったと推測されます。猫は激痛や恐怖を感じた際にも喉を鳴らすことが知られており、外見的な仕草の文脈を読み違えると、致命的な遅れにつながります。