ストーリー展開と並んで読者離れの一因として挙げられるのが、ビジュアル面における変化です。特にスマートフォンやタブレットでの電子書籍閲覧が主流となった現在、「画面がごちゃごちゃして何が起きているか判別できない」という指摘が相次いでいます。
かつての『ONE PIECE』は、シンプルなコマ割りと大胆な大ゴマを用いたメリハリのあるアクションが魅力でした。しかし物語のスケール拡大に伴い、1ページ内に詰め込まれるキャラクター数、背景のディテール、効果音(描き文字)、そしてセリフ量が爆発的に増加しています。その結果、バトルの位置関係や必殺技のヒットの瞬間が直感的に伝わりにくくなりました。
一部で囁かれる作画の劣化という声については、画力の低下というよりも「情報密度が高すぎるあまり視線誘導が機能不全を起こしている」状態と分析するのが正確です。尾田栄一郎氏が「描きたい要素」を限界まで詰め込んでいる職人気質が、皮肉にもライト層の読書体験においては負荷となってしまっています。