海外の一部地域、たとえば英国やニュージーランドなどでは、薬剤師による対面カウンセリングを条件にシルデナフィルの市販化(スイッチOTC化)が認められている国も存在する。この流れを受けて、日本国内でも「ドラッグストアで手軽に買えるようになるのではないか」という期待が長年囁かれてきた。
しかし、厚生労働省の検討会や医療現場のコンセンサスを見る限り、日本におけるED薬のOTC化ハードルは極めて高い。日本泌尿器科学会などの専門家組織が一貫して指摘するのは、心血管系疾患の見落としリスクだ。勃起障害は単なる局所のトラブルにとどまらず、狭心症や心筋梗塞、糖尿病といった重大な全身疾患の初期サイン(血管内皮障害)であることが極めて多い。問診や血圧測定、心電図確認を経ずに店頭で漫然と薬を渡してしまうと、背景にある致死的な疾患の発見が遅れかねないという強い懸念が存在している。