この社を語る上で欠かせない歴史の巨人が、水戸黄門として名高い水戸藩主・徳川光圀だ。光圀公は社領を寄進し、神社の格式を重んじて篤い崇敬を寄せた。現存する社殿の随所には、水戸徳川家をはじめとする歴代支配層の手厚い庇護と、当時の宮大工たちが注ぎ込んだ超絶技巧の痕跡が色濃く残る。
国の重要文化財に指定されている本殿に施された彫刻群は、まさに江戸時代末期の職人魂の結晶と言っていい。「三頭右追巴」の神紋が光る社殿の周囲には、「蘭亭曲水流盃図」や「三試筆(後漢書)」などの故事を題材にした精緻な彫刻が施されており、その立体感と躍動感は見る者を圧倒する。単なる祈願の場にとどまらず、日本建築史の至宝を間近で体感できる美術館のような奥行きがここにはある。