二人の原点となったのは、1988年から深夜枠で放送され社会現象を巻き起こしたシチュエーション・コメディ『やっぱり猫が好き』(フジテレビ系)です。もともと無名に近かった脚本家集団の中で、切れ味鋭い会話劇と独特のユーモアを発揮していたのが、当時20代後半の三谷幸喜氏(1961年生まれ)でした。そして、もたいまさこ氏・室井滋氏とともに恩田三姉妹の三女・きみえ役を軽やかに演じていたのが、当時若手実力派として確固たる地位を築きつつあった小林聡美氏(1965年生まれ)です。
現場での丁々発止のやり取りを通じて互いの才能に惹かれ合い、知的なユーモアの波長が合致した二人は自然と交際へと発展しました。4歳の年齢差を感じさせないフラットな関係性は、仕事仲間からも「知性派同士の理想的なパートナーシップ」として温かく見守られていました。
交際期間を経て、二人が婚姻届を提出したのは1995年11月のことです。当時、三谷氏は『古畑任三郎』シリーズなどの大ヒットで気鋭のトップクリエイターへと登り詰めており、小林氏も映画やドラマで引っ張りだこの状態でした。華美な披露宴を好まず、愛猫とともにマイペースに暮らす二人の姿は、昭和的な「夫唱婦随」とは一線を画す、平成の自立した大人の結婚像として世間の憧憬を集めました。