高射砲を地上戦の切り札へと昇華させた最大の功労者が、「砂漠の狐」として知られる名将エルヴィン・ロンメルだ。北アフリカ戦線においてドイツ軍の電子・機械化部隊であるアフリカ軍団を率いたロンメルは、イギリス軍の強力な装甲部隊に対抗するため、本来は後方に配置されるべき本砲を前線の最前線へ投入するという大胆極まりない奇策に出た。
ハルファヤ峠の戦いをはじめとする死闘において、ロンメルは低く穴を掘って砲身を砂中に埋没させる陣地構築を指示。徹底的に隠蔽された砲口から放たれるアウトレンジ照準射撃は、英軍戦車隊を次々と煙と炎の渦へ叩き落とした。本来の防空目的に縛られない柔軟かつ苛烈な戦術運用こそが、連合軍兵士に「88(アハト・アハト)の恐怖」を深く植え付けることとなったのである。