山口智充の代名詞といえば、あまりにもリアルで誰もがくすりと笑ってしまうモノマネの数々だ。路上の効果音、動作に伴う微妙な摩擦音、あるいは昭和の歌謡スターたちの癖。彼のモノマネは単なる「似せる技術」にとどまらない。対象に対する深い愛情と、常人離れした観察眼によって、音そのものを再現してみせる。
この卓越した音感と表現力は、声優業でも遺憾なく発揮されている。代表作であるピクサー映画『カーズ』シリーズのメーター役は、まさにその真骨頂だ。原語版のニュアンスを汲み取りつつ、日本語吹き替えとして完璧なキャラクターの温かみと愛嬌を注入した仕事は、映画ファンから今も高く評価されている。声を張るだけでなく、キャラクターの「吐息」や「余白」にまで感情を込める技術。それこそが、彼が演者として一目置かれる理由である。