2026年夏の昆虫シーンは、これまでにない熱気に包まれている。背景にあるのは、室内飼育技術の成熟と、ゲノム解析によって明かされた地域個体群の細かな分類学的な発見だ。カブトムシやオオクワガタと並ぶ人気を誇ってきたノコギリクワガタ(学名:Prosopocoilus 属)だが、その魅力の神髄は「多様性」にこそ存在する。
「少年のころの憧れ」を胸に再び飼育を始めた30代〜50代の社会人が、今や最新の温調管理システムや高栄養マットを駆使し、野外ではお目にかかれない大型個体を次々と作出。さらに、地域ごとの色合いや大顎の造形美に特化したコレクション文化が確立されたことで、大人を沼に引きずり込む一大ジャンルへと進化を遂げた。