今回のコスト増の最大の元凶は、心臓部であるSoC(システム・オン・チップ)の過酷な進化競争だ。アップルが推し進める「Apple Intelligence」をクラウドに頼らず端末内で高速処理するためには、桁違いの演算性能と巨大なNPU(神経回路処理装置)が欠かせない。
製造を担う台湾TSMCの最先端2nmプロセスノードは、従来の3nmプロセスと比較してウェハ1枚当たりの生産コストが跳ね上がっている。歩留まりの初期段階という事情もあるが、シリコンウェハ自体の調達費用が高止まりしているのだ。さらに、オンデバイスAIを滑らかに動かすために標準搭載されるRAM(メインメモリ)の容量も従来の8GBから12GB以上へと増強が迫られている。半導体パーツの積み上げ算だけで、1台あたり数十ドルの原価上昇が確定的な状況だ。