寛永9年(1632年)、熊本藩主となった細川忠利公がこの地に「御茶屋」を建てたことから、水前寺成趣園の歴史は始まった。その後、三代目藩主綱利公の時代に大規模な造園工事が行われ、現在見られるような広大な阿蘇の伏流水を生かした築山泉水庭園(ちきさんせんすいていえん)が完成した。
園内は、旧東海道の風景を模した緻密な意匠で知られる。一際目を引く端正な築山は富士山に見立てられており、緩やかな傾斜を描く青芝と松のコントラストが極めて美しい。小道を進むたびに変化する風景は、江戸時代の旅人が目にしたであろう街道のドラマを再現しているかのようだ。計算し尽くされた視界の抜け感と、季節ごとに色を変える木々が描く一幅の絵画のような世界に、誰もが心を奪われる。