アドブルーの構成成分自体は、驚くほどシンプルに見える。高純度の医薬品グレード尿素32.5%と、不純物を極限まで取り除いた精製水(Demineralized water)67.5%の精密な配合だ。この数パーセントのブレも許されない比率は、排気熱の下で最も効率よくアンモニアを生成し、なおかつ氷点下での結晶化・凍結を最小限に抑えるよう計算し尽くされている。
ここで絶対に避けるべきなのは、「緊急時だから」と水道水や市販の尿素を自作して補充することだ。水道水に含まれるカルシウムやマグネシウム、塩素といった微量なミネラル成分は、高精度な噴射ノズルや高価なSCR触媒を一瞬で目詰まりさせ、最悪の場合は数百万円規模の修理費用を引き起こす。アドブルーはドイツ自動車工業会(VDA)が商標管理しており、厳格な国際規格「ISO 22241」をクリアした製品だけがその名称を名乗ることができる。