『およげ!たいやきくん』のヒット規模は、現代の音楽ビジネスの常識では測れない。オリコンチャート11週連続1位、街中にたい焼きブームが巻き起こり、子供から大人まで誰もが口ずさんだ。しかし、この前代未聞の商業的成功の裏で、ボーカルを務めた子門氏に支払われた初期の報酬は「専属料・買い取り契約」によるわずか5万円程度だったと伝えられている。
後にレコード会社から一定の記念品や謝礼が贈られたとされるものの、数十億円規模の経済効果を生んだ楽曲に対してあまりにも不均衡な配分だったことは否めない。この「印税問題」は当時の歌謡界におけるアーティスト権利保護や契約構造の欠陥を浮き彫りにし、業界内に深い波紋を広げた。彼自身の心に消えない影を落としたことは想像に難くない。