だが、市場の急拡大は新たな摩擦も生んでいる。最大の焦点は、素材の配布元が定める「商用利用の可否」と「権利ロンダリング」の問題だ。
「フリー素材」としてWeb上で公開されているものであっても、個人の趣味の範囲に限られ、広告掲載や同人誌販売、商業案件での利用が禁じられているケースは少なくない。さらに深刻なのは、SNS上で「自作のトレス素材」と称して配布されている画像の中に、海外クリエイターの版権イラストからポーズをトレースして無断抽出した「盗用素材」が紛れ込んでいることだ。知らずにそれを利用して商業作品を描き上げたイラストレーターが、権利者から著作権侵害で訴えられ、多額の賠償金や作品回収に追い込まれる悲劇が2026年現在、相次いで報告されている。