日本競馬の歴史を語る上で、1998年の快挙を外すことはできない。アグネスワールドやダイワメジャー、近年ではバスラットレオンなど、多くの日本馬がドーヴィルの直線に挑んできた。しかし、その頂に立ったのは今なおタイキシャトルただ一頭だ。岡部幸雄騎手の手綱に導かれ、圧倒的な手応えで欧州の強豪をねじ伏せたあのレースは、日本のファンに深い感動を焼き付けた。
なぜ日本馬にとってこのレースの壁はこれほど高いのか。最大の理由は、日本の軽い高速馬場と欧州の重厚な洋芝の違いにある。特にドーヴィルのタフな芝は、馬のスタミナとパワーを削り取る。日本のスピード競馬で鍛え上げられた名馬たちが、アウェイの洗礼を浴びて沈んでいく姿を我々は何度も目撃してきた。だからこそ、このレースへの挑戦は今もなお特別な意味を持ち続けている。