午後の稜線に濃い霧が立ち込めてきた。かつて火口だった湿原「擂鉢池」の水面が、乳白色のベールにゆっくりと包まれていく。
どれほど登攀が過酷になろうとも、環境保護を巡る議論が紛糾しようとも、この峰が放つ磁力は衰えることがない。文明の利便性から切り離された山頂で風に吹かれる瞬間、人々は日常で忘れ去られた根源的な野生を取り戻すからだ。自然を消費する側にとどまるのか、それとも守り手としての覚悟を持って一歩を刻むのか。足元で鈍く光る安山岩の連なりが、登る者すべてに無言の問いを投げかけている。 (出典: 燧ヶ岳(Yahoo!ニュース))
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