今池の魅力は、小綺麗な再開発ビルだけでは説明できない。ライブハウス、老舗の大衆酒場、個性的なサブカルチャーショップ、そして全国にファンを持つサウナ文化など、カオスで包容力のあるコミュニティ空間こそがこの街の真骨頂だからだ。
再開発のニュースが表面化するたび、地元住民や文化人からは「他の街と同じような、どこにでもあるチェーン店ばかりのビルになってしまっては今池の味が消える」という懸念の声が上がる。綺麗に整理整頓された都市計画が、長年培われてきた独自のカルチャー空間を押し潰してしまうのではないかという葛藤だ。
一方で、街の衰退を防ぎ、新しい世代やファミリー層を呼び込むためには綺麗で安全な環境が不可欠だという意見も根強い。新旧の価値観が鋭く衝突する現場では、単に古いものを壊すのではなく、街の文化的な文脈をいかに新しい建築のデザインやテナント構成に組み込むかという、極めて高度なまちづくり手法が求められている。