島に足を踏み入れてまず驚かされるのは、山らしい山が存在しない平坦な地形だ。最高標高は約211メートル。だが、その地形こそが世界中の地質学者を驚嘆させてきた。喜界島は過去数十万年にわたり、サンゴ礁が成長しては地殻変動によって押し上げられるプロセスをひたすら繰り返してきた。
海岸線から内陸に向かって階段状に広がる段丘は、まさに地球の記憶を刻んだ巨大な年輪のようなものだ。年間約1.5ミリメートルから2ミリメートルという隆起速度は、パプアニューギニアのフオン半島など世界でもわずか数カ所でしか観測されない極めて珍しい現象である。足元に転がる白い石に触れれば、それが数万年前に海中で生きていたサンゴの化石であることに気づく。足を踏みしめる場所すべてが、地球の歴史を直接体感できるオープンエアの博物館なのだ。