ダイアナ・ウィン・ジョーンズによる原作小説『魔法使いハウルと火の悪魔』を読んだことのあるファンなら、宮崎ジブリ版における「鳥への変身」が大幅なオリジナル要素であることに気づくだろう。原作のハウルは逃げ足が速く、どこか滑稽で人間味あふれる魔法使いとして描かれている。
しかし映画版では、国家間の空戦という壮大な背景が加わったことで、「空を飛ぶことの代償」として鳥の化身という設定が強調された。宮崎監督が得意とする航空機への情熱と、それに対する反戦の思想が融合した結果、映画独自の悲劇的で美しい怪物・ハウルが生み出されたのである。