スーパーやコンビニに並ぶ加工食品のほとんどには「賞味期限」または「消費期限」が明記されていますが、ガムの包み紙やボトル容器をいくら探しても日付の印字は見当たりません。これには食品表示法に基づく明確な法的根拠が存在します。
食品表示基準第3条の規定において、品質の劣化が極めて極端に遅い品目については、賞味期限の表示を省略できると定められています。ガムをはじめ、アイスクリーム、食塩、砂糖、うま味調味料、酒類などがこの対象です。ガムに賞味期限の表示義務がない最大の理由は、製品の水分含有率が極めて低く、常温で長期間保管しても微生物が増殖する環境が整わない点にあります。
微生物(細菌やカビ)が生育するためには、一定以上の「自由水(結合していない水分)」が必要です。しかし、一般的なガムの水分量は約1〜3%程度と極微量であり、水分活性(Aw)が菌の増殖可能域を大幅に下回っています。さらに、ガムの骨格をなす「ガムベース」は植物性樹脂(チクルなど)や酢酸ビニル樹脂、炭酸カルシウムといった極めて安定性の高い成分で構成されており、時間が経過しても腐敗菌によって分解されることがありません。これが「ガムは腐るのか」という疑問に対する科学的な真相です。