「夢の超特急」と呼ばれた0系新幹線の愛らしい「団子っ鼻」は、今なお多くの人々の記憶に刻まれている。しかし、あのノーズコーンが航空機「銀河」の設計思想をルーツに持っていることは意外と知られていない。終戦後、旧海軍の航空技術者たちが鉄道技術研究所に集い、航空力学のアプローチを列車設計に持ち込んだことで、世界を驚かせたあの丸いフォルムが誕生した。
当時の技術では、時速200kmを超える未知の領域でどのような空気抵抗が発生するか、完全には解明されていなかった。そのため、0系の鼻先はシンプルかつ安定した流線形が選択されたのだ。光るプラスチック製のノーズコーン内部には、当初、障害物を検知するレーダーの設置構想すら存在したという。技術的制約の中で生まれた愛らしさと力強さの同居——これこそが、日本の鉄道デザインにおける最初の金字塔となった。