世間を最も驚かせた「耳は本当に聞こえているのか」という疑問に対する結論は、「全く聞こえない全聾(重度難聴)ではなかったが、健聴者と同じように聞こえていたわけでもない」という医学的診断に集約されます。
メディア露出がピークだった時期、佐村河内守氏は「35歳で完全に聴力を失った全聾の作曲家」と大々的に宣伝されていました。テレビ番組では手話通訳者を介して会話をし、絶対音感を頼りに頭の中の音だけで作曲していると語られていたのです。しかし、2014年2月に作曲家・ピアニストの新垣隆氏が週刊文春紙上および記者会見で告発を行ったことで、その前提は根底から覆りました。
新垣氏は「初めて会った時から一度も耳が聞こえないと感じたことはない」「録音した音源を聴かせると、その場で的確にコメントや指示を出していた」と暴露。さらに、インターホンの音に反応して自らドアを開けたり、背後からの呼びかけに応答したりしていた事実が次々と浮き彫りになり、世間は「完全に聞こえているのに全聾のフリをしていた希代の詐欺師」として激しい怒りを向けました。