『孤独のグルメ』がこれほどまでに支持されるのは、過剰な演出を廃した「生々しさ」にある。テレビのグルメ番組にありがちな、タレントによる大げさな「美味しい!」という絶叫はそこにはない。井之頭五郎(松重豊)は、ただ黙々と、時に心の中でブツブツと独り言を言いながら平らげていく。このストイックなスタイルこそが、時に視聴者に「この店、本当に美味しいのか?」という疑問を抱かせる引き金になるのだ。
特に、五郎が初めて訪れる店で、注文した料理がテーブルに届いた瞬間のリアクション。カメラワークや照明の加減によっては、私たちが普段見慣れている「映える」料理とはかけ離れた、家庭的すぎる、あるいは無骨すぎるビジュアルの皿が登場することもある。これこそが、ネット上で「あの回はちょっと……」と囁かれる原因の一つだろう。