彼の芸人人生を語る上で欠かせないのが、所属事務所である浅井企画の存在と、相方である「やす」の存在だ。浅井企画といえば、芸人に対して家族のように寄り添う温かい社風で知られる。目先の流行に翻弄されず、自らの芸風をじっくりと熟成させることができたのは、この事務所のバックアップがあったからこそだろう。
コンビ「ずん」としての活動も、彼らの魅力を形作ってきた大きな要素だ。やすとの絶妙なコンビネーションから生まれるコントは、激しいツッコミで笑いを取るスタイルとは真逆をいく。日常のふとした隙間に潜む可笑しみを拾い上げ、じわじわと笑いを込めていく丁寧な描写。二人が舞台上で醸し出す空気感には、長年ともに苦労を重ねてきた者にしか出せない信頼関係と温もりが宿っている。
やすの温厚で素朴な立ち振る舞いが、飯尾の予測不能なボケをまろやかに包み込む。過酷な売れない時期にも互いを責めることなく、楽しそうにネタを作り続けた時間が、今の揺るぎないコンビ仲の良さへとつながっている。コントで磨かれた「相手の呼吸を感じ取る間」の技術は、その後のタレント活動すべてにおいて強烈な武器となった。