ここを訪れて、あの湯気を上げる大鍋を素通りできる人はいないだろう。黒滝村の名物である串こんにゃくは、ピリッとした唐辛子の辛みと、何時間も煮込まれて芯まで染み渡った出汁の旨味が絶妙に絡み合う逸品だ。1本食べれば、もう1本と自然に手が伸びてしまう不思議な中毒性がある。
この素朴なグルメが、今やインバウンドの観光客をも虜にしている。ガイドブックには載っていないローカルフードの情報をネットで掴んだ旅人たちが、こぞって串を片手に写真を撮る。地元のおばちゃんたちが笑顔で手渡してくれるその温もりこそが、デジタル社会に生きる現代人の心を解きほぐすのかもしれない。