一方で、この結末を「リアリズムの極致」として擁護する声も存在する。戦争とは本来、英雄であってもあっけなく死ぬものであり、美しい奇跡など起きないという、田中芳樹が一貫して描いてきたテーマの具現化だという見方だ。
歴史の奔流の前には、一個人の意志や魅力など無力に等しい。アルスラーンという若き王の治世が、輝かしくも短い幻影のように終わることで、逆に物語全体の伝説としての格調が高まったという評価もある。しかし、エンターテインメントとしてのカタルシスを求めた読者にとって、そのリアリズムはあまりにも冷酷すぎた。